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2024/05/19 04:40 |
【カイト×ルカ】君はとても綺麗だ
最近、ぽルカなツイッターを懸命にヲチしています。
アカウント持ってないし、普段のメールもろくに返信しない無精者なのでツイッターやるのは向いてないのです。

で、みなさんの素敵なやりとりに触発されて、滾ったわけですよ。

なぜか誤った方向に。



今回のお話は劇団ボーカロイドのキャラ設定とはまったく関係ないです。
なぜかカイルカ。でも前提はカイメイでぽルカ。しかもカイト鬼畜風味。
若干精神的に有害ですので閲覧は自己責任で。

それでも読んでやってもいいよという心の広い方は続きからどうぞ。


いやまあしかし、ど う し て こ う な っ た \(^o^)/





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「明日の天気は雨だって。知ってた?」
返事はない。無視だ。
「今朝から降ってる雨が止まないんだってさ」
この距離で無視することはないんじゃないかな。同じ部屋の中にいるのにさ。
近寄ろうとしたら睨まれた。冷たいなあ。そういうところがかわいいんだけど、もうちょっとくらい僕に優しくしてくれてもいいと思うんだ。
 
窓ガラスに叩きつける雨の音は、次第に激しくなっている。まるで台風だ。
薄暗い部屋の中には僕の声と雨の音しか聞こえない。この部屋には僕の他にもう一人いるんだけど、いくら話しかけても無視され続けている。呼吸する音すら押し殺している。おかげで僕は延々と独り言状態だ。
「明日は朝からメイコとミクを買い物ツアーに連れて行かなきゃいけないんだ。僕は運転手兼荷物持ちだって。2人ともひどいよね」
笑いかけても無視。切ないなあ。
 
ふと、廊下から足音が聞こえた。僕を無視し続ける人影がびくりと震える。ちょっと困らせてみたくなったので、少しだけドアを開けた。
「あれ、お兄ちゃん」
「なんだミクか」
「なんだとは何よ、失礼ね」
「ごめんごめん。どうしたの?こんな夜中に」
「あー、なんか雨の音がうるさくて起きちゃったんだ。お兄ちゃんも?」
「まあそんなとこ」
「私これからアイス食べようと思うんだけど、お兄ちゃんも食べる?」
「……いや、遠慮しとく。アイスは1日3個までってメイコと約束したからね。メイコも頑張ってお酒の量減らしてるし」
「結婚式まであと3カ月だもんね」
「そういうこと。食べたらちゃんと歯を磨くんだよ?」
「わかってるって。おやすみなさい」
「おやすみ」
ドアを静かに閉め、人影の方を見る。石のように硬直していた人影は、足音が遠ざかったことを確認したのか、少しだけ動いた。
「見つかるんじゃないかってドキドキした?」
冗談で言ったのに、殺意の籠った視線を向けられた。もうため息しか出ないよ。
「せっかくの美人が台無しだよ。綺麗な顔してるんだからもっと笑顔でいなきゃ」
あー、そこまで殺意剥き出しだと逆にありかもしれない。
 
突然、部屋の中で携帯のバイブ音が鳴り出した。人影がハッとしたように辺りを見回す。でも残念、君の携帯は僕のポケットの中なんだ。
「まったく誰だよこんな時間に。常識のない奴だな」
とか言ってみたけど、誰なのかはもちろんわかっているので、見せびらかすように僕のものではない白い携帯を開く。それまで凍てつくような視線しか向けてこなかった人影が、慌てて毛布の中から飛び出してきた。
「返してっ!」
わざと手の届きそうで届かない位置まで持ち上げて、僕に縋りついて必死に飛び跳ねる彼女を観賞する。さらさらの長い髪も、柔らかくて白い肌も、全部全部綺麗だ。
「『明日、十時に東口駅前広場長椅子にて待つ』だって。何これ果たし状?」
「やめて!見ないで!」
「騒ぐとメイコが起きちゃうよ」
あれ、2時間くらい前にも言ったなこの台詞。
彼女は大人しくなったけれど、視線は携帯から離さない。ちょっとかわいそうになったので手が届く高さまで降ろしたら、ひったくってまた部屋の隅に逃げた。そんなに大事そうに抱えて。もしかして携帯依存症?現代っ子の鑑だね。
「なんでそんなに上から目線なのかなあ。とても女の子に送るメールとは思えない」
物陰に隠れるように背を向けてうずくまる姿は、まるで子猫のようにかわいらしい。
「第一、駅前広場には屋根がないよ。あいつ明日の天気予報見てないんじゃない?」
一歩近づくたびに彼女の肩が大きく跳ねる。それがわかっていてゆっくり近づく僕は、結構Sなのかもしれない。
「映画だったら僕が今度連れて行ってあげるから」
頑なに僕の方を見ようとしない。一糸纏わぬ白い背中が部屋の中になまめかしく浮かび上がっている。小刻みに震えているのは気のせいじゃない。そっと触ったつもりだったんだけど、勢いよく振り向いた顔にはオブラートに包まない嫌悪感が浮かび上がっていた。
「触らないで」
「明日はみんなで買い物に行こう。好きな服でもアクセサリーでも何でも買ってあげるよ」
「私に触らないで」
「買い物が済んだら美味しいご飯だね。こないだチェックしてたケーキ屋にも寄ろう」
「触らないでって言ってるの」
「……そんなにあいつがいいの?」
夕方、君が頬を赤らめて電話してた相手は、そんなに価値のある男なの?
 
ああ、だめだよ。そんなに力を込めて唇を噛んだら切れるって。宥めるつもりで頬に触れたんだけど、ばっちり逆効果だったみたいだ。うーん。
 
「あ、ほら、見てよルカ」
彼女の桜色の髪を一束掬って、僕の青い髪にかざした。
 
 
「紫色」
 
 
乾いた音が一瞬部屋に響いて、すぐ雨音にかき消された。
叩かれた頬は痛いけれど、彼女のひび割れた氷のような目も、こぼれ落ちるたくさんの涙も、とてもとても綺麗だ。




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最初に「カイトが自分の髪にルカの髪をかざす」というのが浮かんだのですが、
ほのぼのさせるはずが全然違う方向へ行ってしまいました。

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2010/09/02 21:46 | ボカロ。

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