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2024/05/19 04:09 |
生存報告。
まさかの約1年ぶりの投稿です。
忙しい+ネタがない+スパロボに浮気などなどありましてこんな感じに。

でもやっぱアレですね。読むのが好きだからってうまい文章が書けるわけもなく。
もうほぼ読み専ですが、もしも思い立って書きたいことがあった時のために、一応ここを残しておこうと思います。

それだけじゃアレなので(アレばっか)、一応テキストも。



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私の家の地下にはレッスンスタジオがあって、いつもそこで発声や歌、ダンスなどの練習をしている。発声や歌の先生はお姉ちゃん、ダンスの先生はお兄ちゃん、英語の発音の先生はルカちゃん、殺陣と着物所作の先生はがっくん。私とリンちゃんレン君はひたすら生徒。
 
「1、2、3、4、5、6、7、ターン」
今日はダンスのレッスン。リンちゃんとレン君がレコーディングに籠ったので、周りは全員年上。ちょっと不思議な感じ。私がいなければ、きっと夜は飲みに行ったんだろうなあ。ま、どうせ私が寝てからうちで飲むんだろうけど。
「ミク、テンポずれてる。集中して」
おっと、危ない危ない。
お兄ちゃんはこのレッスンとお仕事の時は別人みたい。ほとんど笑わないし、お姉ちゃんやがっくんのことも呼び捨てになる。特に、ダンスが苦手なお姉ちゃんに対してはビシバシダメ出しする。
「ストップ。メイコ、顔の角度が違う」
ほーら、また。本日3回目。お兄ちゃんが誰かの名前を呼んで練習を止めた時は、しばらくその人の個人レッスン。他の人は休憩。
でもさあ、いくらなんでも50分休憩なしはさすがにきついよ。汗が止まらなくて気持ち悪いし、喉もカラカラ。ミネラルウォーター一気飲みで水分チャージです。
「カイトさん、本当に熱心に教えてくださいますよね」
隣にルカちゃんが座った。タオルで汗を拭いながらお兄ちゃんとお姉ちゃんのレッスンを眺めている横顔は、火照って赤くなって、ちょっと色っぽい。美人はどんな時でも美人だ。
「最初の頃は悪魔に見えたけどね」
「ふふ、確かに」
この家に来て初めてダンスのレッスンを受けた日、私はトイレでワンワン泣いた。晩御飯の時は一切お兄ちゃんと目を合わせなかった。ルカちゃんに至っては晩御飯も食べられないくらい落ち込んで、翌朝やっと部屋から出てきたと思ったら目が真っ赤だった。
リンちゃんやレン君も、最初のレッスンでは泣いちゃったって言ってた。そのぐらい、お兄ちゃんのレッスンは厳しい。
とにかく、指摘が細かい。決して怒鳴ったり罵倒したりとかはしないけど、できるまで何回も同じステップを繰り返す。1対1だから誰も助けてくれないし、長引いてみんなを待たせてるのもつらいし、何よりお兄ちゃんの要求レベルが高いから、ちゃんと踊れたつもりでもダメ出しが来る。
「唯一お兄ちゃんのレッスンで泣かなかったのはがっくんだね」
「がくぽさんは何にでも一生懸命で手を抜かないですよね」
「皆に追い付くのに必死なだけだ」
がっくんはルカちゃんの向こうで、立ったまま壁にもたれてお茶を飲んでる。Tシャツはびしょびしょだけど、私やルカちゃんと違ってちっとも息が上がってない。すごいなあ。
「とにかく最初は、まったく思い通りに足が動かないことが腹立たしくて、合格をもらっても納得いかずに何度もやり直していたな」
あれは完全に体育会系ってやつだった。なんかもう背景に夕日が沈む海とか見えてた。
「私達が退室してもずっとレッスンを続けて、結局お2人とも夕食に遅刻してしまって」
「そうそう、お姉ちゃんがせっかくロールキャベツ作ったのにちっとも戻ってこないから、私達で全部食べちゃったんだっけ」
「あの日はがくぽさんじゃなくてカイトさんが泣いていましたね」
お兄ちゃんの情けない泣きべそ顔を思い出して、3人でこっそり笑った。
レッスンでダメ出ししている顔と、お姉ちゃんのご飯を食べ損ねてしおしおになってた顔。あまりにギャップがありすぎてとても同一人物とは思えない。
「休憩終了。合わせるよ」
私達がおしゃべりしてる間に、お姉ちゃんの個人レッスンが終わったみたい。
「お姉ちゃん、休憩しなくて大丈夫?」
「平気平気。待たせてごめんなさいね」
肩で息をしていたお姉ちゃんは、ペットボトルのお茶を一口飲んですぐに呼吸を整えた。
「これができたら今日はお終いだよ。皆集中してね」
お兄ちゃんの手拍子と掛け声に合わせて全員でステップを踏む。
最初の頃は足がもつれてうまくいかなかったステップも、軸がぶれてみっともなかったターンも、今では他の家の子に褒めてもらえるくらいうまくなった。
お兄ちゃんのレッスンは厳しいけど、頑張れば頑張った分だけうまくなれるから、今ではダンスが大好きになった。
特に、全員で合わせてばっちり決まった時はすごく嬉しくなるのよね。
「OK。今日はここまで」
はあ~疲れた。体中がミシミシいってます。明日は確実に筋肉痛です。
 
普段のお兄ちゃんは、ちょっとヘタレだけどいつもニコニコしてて優しい。私達といっぱい遊んでくれるし、買い物付き合ってくれるし、UFOキャッチャーで必ず欲しいぬいぐるみを取ってくれる。そして、お姉ちゃんのことが大好き。
「めーちゃんの作るご飯は最高に美味しいよ」
「あたしより上手いあんたに言われるとむかつくわね」
「本当のことを言っただけだよー」
お姉ちゃんは劇団ボーカロイドの主宰として、毎日忙しく働いてる。かっこよくて頼れる、自慢のお姉ちゃん。酒癖が悪いのが玉にキズ。
お姉ちゃんは他の人がいる前では滅多にお兄ちゃんに優しくしない。そのくせ、お兄ちゃんが仕事でいない日はテンション低いし、お兄ちゃんが出てるPVは一人でこっそり何度も見てる。これでバレてないつもりなのがお姉ちゃんの可愛いところ。
「みんな、マスターからメールよ。リンとレンは今日は泊まりだってさ」
お姉ちゃんがニコニコしながら新しいワインボトルを持ってきた。
明日はみんなオフだし、こりゃ朝までコースだな。付き合わされる方が面倒なパターンだわ。
「ごちそうさまでした。未成年は歯を磨いて寝まーす」
「あら、早いわね。あんたもたまには付き合いなさいよ」
「今日はレッスンでくたくただからパス。がっくん、お兄ちゃんがお姉ちゃん達に変なことしようとしたら容赦なく斬り捨ててね」
「心得た」
「2人ともひどいよ~」
「おやすみなさい、ミクちゃん」
「おやすみ~」
 
 
電気を消して、ベッドに入って考えた。私にもいつか彼氏はできるのかな。他の家の初音ミクは、同じ家のKAITOさんやレン君やがくぽさんと付き合ってる子が多い。ルカさんやリンちゃんと付き合ってる子もいるけど、私はやっぱ普通に彼氏がいいかな。
お兄ちゃんは、この家に来た時からお姉ちゃんとラブラブだったからなあ。ヘタレだし。アイス独り占めするし。
レン君も私より先にいたけど、リンちゃんとべったり(本人は否定するけど)。そもそも私、年下よりは年上の方が好きなのよね。
となるとがっくん?……どうだろう。でも、ちょっと大人すぎるかも。がっくんには、私よりもルカちゃんの方が似合うと思う。おしとやかだし、美人だし、胸大きいし。あ、でも、ファーストキスを奪われてからお姉ちゃんのことが気になってたりして。
「……はぁあ、寝よ寝よ」
下の階からお姉ちゃんの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。もう酔っぱらってるよ。半ベソみたいなお兄ちゃんの声も聞こえる。がっくんやルカちゃんの笑い声も聞こえる。
お酒って美味しいのかな。お酒飲んだら胸大きくなるかな。そしたら彼氏もできるかな。もし彼氏ができるなら、おにいちゃんみたいな、ひとがいいな……
 
 
次の日、いつもより早く目が覚めてしまったので、そっとリビングを覗いてみた。
がっくんは見当たらない。帰ったみたい。
ルカちゃんはがっくんのジャージを掛けて寝てる。もしかして飲んだのかな。やっぱ早く寝て正解だった。
お姉ちゃんはソファの上でお兄ちゃんのジャージを掛けて寝てた。お兄ちゃんはソファ前の床に座って、お姉ちゃんの寝顔をニヤニヤしながら見てる。ちょっと変態っぽい。上半身裸だし。
あ、見つかった。「しー」ってしなくたってわかってるよ。ちゃんと音立てないでドア閉めるよ。
邪魔しないから好きなだけラブラブしてなさい。そんなデレデレな顔して、あとでお姉ちゃんに怒られても知らないんだから。
 
 
Fin.

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2011/07/07 21:51 | ボカロ。

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