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2024/05/19 10:23 |
【誕生日おめでとう!】2
さて、2月10日になってしまったわけですが。
仕方ないよね。

ゼブラの誕生日なのにココ視点で進めております。
すみませんココさん大好きです。

繰り返しアナウンスしますが、当ブログにおいてゼブラとサニーはノンケです。








「いやー、危なかった! ココのおかげだぜ!」
「ふざけんな! ありゃ反則だ!」
「言い訳すんのかよ。男らしくねーし」
 ツイスターゲームはトリコが逆転勝利を収めた。ゼブラの敗因は、ボクの姿を見て笑いを堪えきれずバランスを崩したこと。お前のせいだとものすごい剣幕で怒鳴られたけれど、ボクだって好きで着てるんじゃない。不可抗力だ。
 やいやいと言い合う賑やかな声をBGMに、ボクはまた中華鍋をあおっていた。用意した料理はものの数分できれいにたいらげられ、追加分も作るそばからブラックホールに吸い込まれるように空になっていく。ろくに休憩も取れずに鍋を振り続けているものだから、だんだん指先が痺れてきた。
「トリコ、食べ終わったなら皿持ってこい。餃子焼けたぞ」
「よっしゃ!」
 口いっぱいに食べ物を詰め込んだトリコが大皿を持ってやって来た。フライパンに皿をかぶせてひっくり返すと、円形にぎっしり並べた餃子はまるで大輪のひまわりだ。右手に餃子、左手に棒々鶏の皿を渡してさっさとキッチンから追い出す。入れ替わりにやって来たゼブラは冷蔵庫から缶のチューハイとビールをごっそり持っていった。続いてサニーが顔を覗かせる。
「海老炒飯まだ? オレの海老炒飯。あと海老焼売」
「焼売はもう少し時間がかかる。炒飯はもうできるよ」
 手首のスナップを利かせて中華鍋を煽り、仕上げに香り付けの醤油を鍋肌から回し入れて軽く炒める。普通の皿と大皿に分けて盛り付け、人数分のレンゲを添えて渡した。最初から取り分けておかないと、トリコ達があっという間に食べ尽くしてしまってサニーの口に入らないのだ。
 やっと一段落ついて、自分用に残しておいた春巻を口に放り込んだ。ちょっと冷めてしまったけど、悪くない味だ。つまみ用に叉焼と搾菜をスライスしているとゼブラがやってきた。
「飯はそれで最後か」
「そうだ。足りないか?」
「いや、大丈夫だ」
 ようやくこの姿を見慣れたようで、にこりとも笑わない。特に何をするというわけでもなく、ビール片手に食器棚に寄り掛かり、じっとボクの手元を見ている。少し居心地が悪い。
「しかし、何でまた中華なんだ。てっきりハンバーグとかステーキとかをリクエストされると思ってたよ」
「小僧に作らせるんだったらそっちが食いてえが、お前が作るんならこっちの方が美味い。それだけだ」
「それはどうも」
 残りを一気にあおって缶を握り潰し、ゴミ箱へ。そのまま部屋に戻るかと思いきや、キッチンの中を見回している。……ああ、そういうことか。
「ケーキならちゃんと用意してあるから心配するな」
 蒸しあがった海老焼売と小籠包を蒸籠のまま皿に載せ、ついでに小皿に叉焼と搾菜も盛り付けてゼブラに渡す。両手の塞がったゼブラはまな板に残った切れ端を見てあんぐりと大きな口を開けた。
「ったく、横着するなよ。ほら」
 つまんで放り込んでやればもぐもぐと口を動かしてすぐに飲み込んだ。雛に餌を与える親鳥の気分だ。まあ、ゼブラを雛と呼ぶにはかなり無理があるけれど。
 
 全ての料理を食べ終わり、空になった酒の缶を片付ける。いよいよゼブラの罰ゲームだ。残るはボクの用意したものとトリコが用意したもの。ゼブラが引き当てたのは……
「んだこりゃあ! トリコてめえチョーシ乗ってんじゃねえぞコラ!!」
 4つ折りの紙を開いた途端、ゼブラが顔を真っ赤にして叫んだ。どうやらボクのではなくトリコのを引いたようだが、様子がおかしい。ゼブラの手元を覗き込んだサニーはぶわりと髪を逆立てて顔を引き攣らせた。
「何考えてんのトリコ。キショイ。ありえんマジキショイ。ただの変態じゃん」
 サニーはなぜか憐れむような目でボクを見た。無言でゼブラから差し出された紙には、筆圧の強いトリコの字でこう書いてあった。
『ココの右脚の膝から爪先にかけて生クリームを盛り付け、下から上に向かって1滴もこぼさずにきれいに舐め取る』
「……………………」
 うっかり額に滲んだ猛毒を深呼吸して何とか治めた。
「自分で引こうと思って書いたんだよ! なんでよりにもよってゼブラなんかに……」
「バッカじゃねーの? 自分が書いたやつ引いたら他のに替えるに決まってるし! 大体ココが引いたらどうするつもりだったんだよ!」
「それはそれで罰ゲームになるから問題ないだろ!」
 どうしよう。こいつ本当に救いようがない。
 あまりの馬鹿らしさに怒る気も失せて、手の中でそっと紙片を毒で燃やす。燃えカスを払い落としていると、ゼブラに腕を掴まれた。相変わらず顔は真っ赤で、眉間にはコインを挟めそうなくらいに深く皺を寄せている。
「……やるぞ。罰ゲーム」
 その言葉に部屋の空気が凍りついた。
「冗談じゃない! ボクは嫌だよ!」
「オレだってやりたかねえよ! でも引いちまったもんはしょうがねえだろ!」
「やめろゼブラ! ココに手を出すな!」
「テメーのせいだろ! あとそーゆー誤解を招く言い方すんなし!」
 腹を括ってしまったゼブラはトリコの鞄からホイップクリームのチューブを見つけると、ボクの前に屈み込み、タイツの右膝から下を引き裂いた。暴れるトリコはサニーが触覚で雁字搦めにして押さえ込んでいる。
「ほ、本当にやるのか……?」
「黙ってろ」
 言われるがままに壁に寄り掛かる。ゼブラはボクの右脚を持ち上げて自分の膝に乗せ、生クリームを搾り出した。膝頭から爪先まで白い一筋の道が作られた。それはボクの体温で温められ、肌に接した部分から早くも溶け始める。垂れそうになった雫を慌ててゼブラがぺろりと舐めた。
「ひゃっ!」
「へっ、変な声出すんじゃねえ!」
「おっおまっ、お前がいきなり舐めるからいけないんだろ!」
「うるせえ! じゃ、じゃあ……い、い、今から舐めるからな」
 律儀に予告をして、ゼブラはボクの足を捧げ持つとそっと爪先に舌を這わせた。あまりの光景にボクは両手で顔を覆った。
 先端を尖らせてクリームの塊を掬い取り、べったりと舌全体を押し当てて残ったクリームを拭い去る。かと思えば、脇にこぼれそうになった雫を不意打ちで舐められる。くすぐりに弱いボクはゼブラの舌が肌に触れるたびに肩が震えてしまい、声を上げそうになる口を必死に押さえた。知らず知らずのうちに息が上がる。
 たとえば深夜の寝室で、ボクとトリコの他には誰もいなくて、脚を舐めているのがトリコであったならば、ボクは視覚的にも皮膚感覚的にも興奮しただろう。だがここはリビングで、サニーが今にも吐きそうな顔でこちらを見ていて、ボクの脚を舐めているのはゼブラだ。肌の上を舌が這い回る感触は、ただただくすぐったくて恥ずかしくて気色悪い。ゼブラの罰ゲームのはずなのに、なんでボクがこんな仕打ちを受けなきゃならないんだ。
「ゼッ……ゼブラ……頼むから、は、早く……終わらせてくれ……」
「あと少しだ! 我慢しろ!」
 半分以上溶けかかったクリームを啜り上げられて、肩が思わずびくりと跳ねる。ゼブラは乱暴にざっと膝頭を舐め回すと、ぐいっと手の甲で口元を拭った。
「おら、終わったぞ」
 肩で息をしつつそっと指の間からゼブラの顔を見ると、ばっちり目が合ってしまって慌ててお互いに顔を逸らした。気まずい。相当気まずい。
「……口ゆすいでくる」
 ゼブラは逃げるように洗面所へと走っていった。
 サニーはつるんとした肌にびっしりと鳥肌を立てて硬直していた。トリコは石のように固まって動かない。
「……なあ、これってボク達全員にとって罰ゲームだったんじゃないか?」
「確かに」
 ゼブラに隅々まで舐められた右脛は唾液にまみれてぬらぬらと光っている。ボクは台拭きを手に取ると、肌が真っ赤になるまでゴシゴシと拭った。何だか寿命が半分くらいに縮んだ気がするのは絶対に気のせいじゃない。
 そして何度も言うようだが、ボクはずっと、虹色全身タイツに鼻眼鏡である。
 
 

Fin.

拍手[6回]

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2012/02/10 00:05 | トリコ。

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