アニメが始まって少ししてからトリコにはまったので、何を書いても「こんなのとっくに他の人が書いてるんじゃなかろうか」と思ってしまいます。
新参者ですから迷惑かけないように気をつけます。
とにかく庭時代の捏造は公式設定が出るまでに終わらせないと!
ああ、もっと早くはまればよかった。マジで_(:3」∠)_
庭時代捏造(7)です。
新参者ですから迷惑かけないように気をつけます。
とにかく庭時代の捏造は公式設定が出るまでに終わらせないと!
ああ、もっと早くはまればよかった。マジで_(:3」∠)_
庭時代捏造(7)です。
遠慮がちにドアを3回ノックし、トリコは少し間を置いてから軽く開けて体を滑り込ませる。ココはいつも通り閉まる音を確認してから目隠しを取った。
「こんばんは。今日は遅かったね」
「ん、ちょっと……な」
あれ、とココは首を傾げた。トリコはミニライトも点けずにドアの前から動こうとしない。バツが悪そうに明後日の方向に視線を飛ばし、頬をポリポリと掻いている。
どうしたの、と声を掛けられ、トリコは歯切れ悪く言葉を吐き出した。
「……あの、さ。今日オレの友達2人連れてきたんだけど……入れてくれるか?」
暗闇の中でココの体が強張った気配がした。初めて会った日のように、警戒心をあらわにした怯えた空気が伝わってくる。トリコは大慌てで顔の前で両手を合わせ、必死に謝った。
「ごめん! ここに来る手前で待ち伏せされてて捕まっちまったんだ」
「……待ち伏せ?」
「オレ、ここに来るようになってから全然あいつらと遊んでなくて、だからオレが何やってたか知りたいって、どうしてもって聞かなくて……。悪い奴らじゃないし、口は固いんだ。きっとココも友達になれると思う。だから……!」
重たい沈黙がトリコの背中にのしかかる。じっと黙っていたココは、やがて諦めたように溜息を吐いた。
「……いいよ。トリコの友達ならボクもいつか会ってみたいと思っていたから。それに今無理矢理追い返してもこの場所がわかってしまっているんじゃ意味ないしね」
ココは外した目隠しを再び巻くと、トリコに声を掛けた。
「サンキューココ!」
トリコはドアを細く開けると外の2人を招き入れた。
サニーはミニライトの頼りない照明の中で、ベッドの縁に腰掛けたココを穴が開くほど見つめていた。ココは居心地悪そうに俯いている。
「つくしい! 超つくしい! おま、こいつ独り占めしてたとかマジ許さねーぞ!」
駆け寄ろうとしたところにトリコが両手を広げて立ち塞がった。
「サニー、オレの話聞いてたのか? ココは病気だから、誰かに触ったり触られたりしちゃいけないんだ! 触覚ももちろんダメだぞ!」
「んだよトリコ! 自分の方が先に見つけたからってえばってんじゃねーし!」
ぎゃんぎゃんと騒ぐ2人に舌打ちしつつ、ゼブラはトリコから取り上げたパンを貪っている。ふと見ると、ココは思いっきり背中を仰け反らせて目線を泳がせていた。
「あん? 何してんだお前」
「な、何か……細い糸みたいなものがたくさん周りに」
「え?」
一瞬固まったゼブラはすぐにサニーを振り返る。同じく固まっていたサニーとトリコはぽかんと口を開けていた。サニーが触覚を引っ込めたらしく、ココは安堵の溜息を吐いて体の力を抜いた。
「……おま、見えんの? オレの触覚」
「み、見えるよ。みんなは見えないの?」
「こいつの触覚めちゃくちゃ細いから普通は見えねえんだよ! すげえなココ!」
トリコは目を大きく見開いてすげーすげーと連呼している。サニーはまだにわかには信じられなかったようだが、触覚で作った文字や図形をことごとく言い当てられ、ようやく納得した。
だんだんと会話のテンポがスムーズになってくると、ココの肩の力も少しずつ抜けていった。サニーやトリコが話し上手なことも手伝って、あれこれと外の世界について質問しては興味深そうに耳を傾けている。ココがまた新たな質問をしようとした時、ただ一人話の輪に加わらずに傍観していたゼブラが唐突に口を開いた。
「消灯時間20分前だ。帰るぞ」
3人は揃って時計を見上げる。いつの間に随分時間が経っていたようだ。
「ちょ、まだ早えーよ! こっからオレ達の部屋まで5分かかんねーし!」
「馬鹿野郎。時間差つけてバラバラに帰るんだよ。3人まとめてギリギリに帰ったらバレるだろ。特にトリコ、お前最近目ぇ付けられてるから最初に行け」
「うぇ、マジかよ!?」
さっきまではしゃいでいたトリコは蛙が踏んづけられたような声を出した。慌ててドアに駆け寄るとくるりと振り返り、目を閉じろ、とココに合図する。
「明日も来るからな! おやすみココ!」
ココが目を開けた時、もう室内にトリコの姿はなかった。足音が遠ざかるのを聞きながら、ココは閉じられたドアからしばらく目を離さなかった。
「次はオレが行く。トリコは中庭側に出たから、オレは中から行くぜ」
ゼブラは残っていたパンをまとめて口に放り込むと手をはたいて立ち上がった。ココが何と声を掛けようか迷っているうちに、トリコと同じように合図をしてからドアを開けて出て行った。
「……あの人、つまらなさそうだったね」
「や、ゼブラ的には相当機嫌よかったし。あいつ元々無愛想なやつだから気にすんな」
フンと鼻を鳴らすと、サニーは時計を見上げた。
「っし、じゃあオレも帰るわ。また明日な」
どのルートから帰ろうかと考えながらサニーはミニライトを拾い上げる。ココは驚いたように目を瞬かせた。
「あ、明日も来てくれるの?」
「んだよ、来ない方が良ワケ? 迷惑?」
「迷惑だなんて、そんなことないよ。そうじゃなくて……その……」
もごもごと口ごもったココに向かってサニーはビシッと人差し指を向けた。
「オレら今日からダチじゃん。ダチと遊ぶのはたりめーだろ」
Fin.
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