よおし!ついに最終話です!ココ誕完走!!
リアルタイムで読んでいた方はたぶんいないと思います。ええただの自己満足ですとも。
勝手に試練を課して勝手に苦しんだ一日でしたが、ものすごい達成感に包まれております。
つまり何が言いたいかって、ココさん誕生日おめでとう!!
最後はトリココ二人っきり。もうすぐ10月29日も終わりです。
リアルタイムで読んでいた方はたぶんいないと思います。ええただの自己満足ですとも。
勝手に試練を課して勝手に苦しんだ一日でしたが、ものすごい達成感に包まれております。
つまり何が言いたいかって、ココさん誕生日おめでとう!!
最後はトリココ二人っきり。もうすぐ10月29日も終わりです。
ドアの閉まる音がして、トリコが水晶コーラのボトルとグラスを2つ持ってきた。コルクを抜いてなみなみと注ぎ、窓際に立つココを呼び寄せる。
「んじゃ改めて。誕生日おめでとう、ココ」
「何度目だそれ」
「何度言ったっていいだろ。今日が終われば来年まで1年間言えない台詞なんだぜ? 明日になってから言い足りなかったなんて後悔はしたくねえからよ」
「何ともトリコらしい理由だな」
グラスを傾けてコーラを口に含む。ココは鼻に抜ける香りと口の中で弾ける炭酸をゆっくりと味わった。時計を見ると22時を過ぎてしばらく経っていた。10月29日が終わるまであと2時間を切っている。
「それにしても、まさか最上階のスイートルームを予約してあるとは思わなかった」
「今朝小松の包丁借りに来たついでに予約しといたんだよ。いい眺めだろ?」
「ああ、悪くない」
ココはグラスを置いてテーブルの上のキャンドルを手に取った。芯が焦げて上部がやや溶けたそれをしげしげと眺める。背後からトリコが腰に手を回して顎を肩に載せた。
「最近は数字型のキャンドルなんて便利なものがあるんだな。子供の頃のように歳の数だけケーキに立てると思ってた」
「ココの歳の数じゃあせっかくのケーキが蜂の巣だな」
「お前だって大して変わらないじゃないか」
「確かに」
耳の後ろにトリコの鼻がすり寄せられる。熱い息が吹きかけられ、耳たぶをちろりと舐められたところでココはトリコから離れた。
「シャワーが先だ。それからジャケットはそんな所に脱ぎ捨てないでちゃんとハンガーに掛けろ。皺になる」
口を尖らせつつもトリコはさっさと全裸になって服をクローゼットにしまうとバスルームへ向かった。程なくして水音が聞こえ始める。
ココはテーブルに視線を戻した。そこにはキャンドルの他に3つの包みが置かれている。ピンク色の包装紙に赤いリボンが巻かれた箱はリンからのプレゼント。中身はキッスをブラッシングするためのブラシだった。クリーム色の紙袋は小松から。ココの好きな紅茶の茶葉と手作りの焼き菓子の詰め合わせだ。トリコには勝手に食べないように念入りに釘を刺しておいた。そして新聞紙に包まれたやけに重たいものはゼブラから渡された。中身はなんとハニープリズンに収監されていた時の手錠の残骸だった。まあ一応光り物ではあるから、キッスのおもちゃにはなるだろう。
バスローブ姿のトリコが出てきた。ジャケットを脱いでネクタイを外し、入れ替わりにバスルームに向かう背中に声が掛けられる。
「脱がしてやろうか?」
「断る。どうせそのまま押し倒す気だろ」
「ちぇっ、バレてたか」
トリコがついてこないことを確認して服を脱ぎ、脱衣所の鏡に全身を映した。体中にあった傷はもうほとんど消えており、サニーに指摘された左太腿と右肩の縫合痕もよく見なければ分からないほどに薄くなっていた。ただ、背中のケロイドはかなりきれいになったものの皮膚が変色したままだった。
バスルームに入り、ボディーソープを泡立てて体を洗う。特に下腹部と膝裏は念入りに。ココが先にシャワーを浴びたいと言った最大の理由はここにあった。もしあのまま情事になだれ込んでいたら、紅茶の香りが香水のものだとトリコは必ず気付くだろう。それではサニーに協力してもらった意味がないのだ。最後に熱いシャワーを頭から浴び、バスローブを纏ってベッドルームへと向かった。
「待ってたぞココ」
ベッドの上で寝そべっていたトリコはココの顔を見ると笑顔で両手を広げた。体を包む電磁波の色が目を背けたくなるほど雄弁にトリコの感情を語っている。渋々ベッドに上がると思いっきり抱きしめられた。トリコは首筋に好き放題にキスを落としていたが、ふいに顔を上げた。
「そうだ。今日行った喫茶店、後で教えてくれよ。何か紅茶以外に変わった匂いがしたんでちょっと興味があんだ」
「それが……今日で店じまいだったんだ。マスターが体を壊したらしくてね」
「そいつぁ残念だな」
驚異的な鼻の良さにココは内心舌打ちしたが、とっさに吐いた嘘をトリコは信じたようだった。ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、期待に満ちた眼差しに瞳を捉えられてぎくりと体が強張る。
「ココ、今朝の約束、覚えてるよな?」
「あっ、あれは、お前がいつまでもベッドから動かなかったから、とりあえずどかすためにだな……」
もごもごと歯切れ悪く言い訳するココを、トリコは意地の悪い笑みを浮かべてニヤニヤと見物している。
「オレすっげえ頑張ったんだぜ? 普通だったらこの時期にルビークラブが卵持ってることなんてありえねえけど、お前が食べたいって言うからさ」
「うっ……」
「うまかっただろ? みんなに分けてやるくらい喜んでたじゃねえか。なのに今さら約束を反故にするなんて男らしくねえんじゃねえの? え? 四天王一の優男さんよ」
「…………わかったよ! やるよ! やればいいんだろ? ただし電気は消せ。カーテンも閉めろ。じゃなきゃやらないからな!」
耳まで真っ赤になったココは自棄っぱちに吐き捨てた。トリコは満足げに微笑むと手元のスイッチで室内の灯りを消し、カーテンを閉める。
「しっかり目に焼き付けたかったんだがな。ココの騎乗位」
「黙れ」
ココは噛みつくようにキスをしてトリコの唇を塞いだ。
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