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2024/05/19 12:27 |
【着用時は他の衣類からの色移りにご注意ください。】1
今日のアニトリ、まさかの事態に話おかしくなるんじゃと心配していますが、まあココに会えるならとりあえずいっか★的な。
しかしエンディングのココの襟は修正されないのかな。されないんだろうな。

さて、17years beforeはまだまだ途中ですが、思いついたネタがあったので書いてみました。
トリココ+サニー他。リーガルマンモス編の少し後の話です。全6話の予定。
最後まで書いてからタイトル決めるまでに2週間。時間かかりすぎ。






 店を開けない日の最高の贅沢は朝寝坊である。
 その幸せを存分に満喫していたボクは、突如静寂をぶち破る無粋な足音に叩き起こされた。何事かと思えば、玄関脇に荷物を置いていきなり寝室に踏み込みクローゼットを開いた鮮やかな髪色の男が一人。
 そして、開口一番に発した言葉がこれだ。
「おま、まともな服は一着もないワケ? マジでありえんし」
 現状把握にたっぷり1分近く要した後、寝起きの不機嫌極まりない表情で彼を睨みつけると、ボクは眉間に皺を寄せたまま玄関のドアを指差した。
「サニー。おはよう。帰れ」
「いや来たばっかだし。何、トリコいんの?邪魔した?」
 さらりと恐ろしいことを言うな。
「……いないよ。見たら分かるだろう」
「んじゃ問題ねーし」
「問題あるよ。いいかげん触覚で勝手に鍵を開けるのはやめてくれないか」
「うわ、たったこれっぽっちしか私服がないのもありえん」
 マイペースなところは本当に昔から変わらないね。少しは人の話を聞けよサニー。
 上がりきらない血圧のせいで頭はどんよりと重く、思考が正常に働かない。クローゼットを隅々まで改めるのに忙しい彼はとりあえず放っておくことにして、湯を沸かして温かい紅茶を淹れた。
 口に含んでゆっくりと飲み干せば、鼻に抜ける芳醇な香りが心を満たしてくれる。指先までじんわりと温まって体が覚醒してゆくこの感覚が好きだ。人によって好みは分かれるだろうが、一日の始まりにはコーヒーよりも紅茶の方がふさわしいとボクは思う。
 欲を言えばもう少し長く寝ていたかったのだが、招いていないとはいえ客がいるのに二度寝するわけにもいかない。仕方なしに大きく伸びをした。
 寝室に視線を戻すと、サニーはとうとうクローゼットの中身を出して種類別に仕分けし始めていた。とはいっても占いやハントの時は仕事着であるタイツ様の黒いボディースーツを着ているから、いわゆる私服というものはほとんどない。仕事着の山の横にそれぞれ4、5枚程度積み上げたところでクローゼットの中身の9割が出されたことになる。残っているのは白と黒のフォーマルスーツが1着ずつとドレスシャツ3枚。どれもIGOからの支給品だ。
 カーキのスラックス。グレーのシャツ。モカベージュのジャケット。マスタードイエローのニットベスト。ダークブルーのハイネックカットソー。ライトブルーの『DOKU』Tシャツ。ひとつひとつ触覚で持ち上げては、顔をしかめている。難しい顔で腕組みしたまま、大げさに盛大な溜息を吐いてサニーは振り返った。
「前から思ってっけど、マジでセンスがポイズンだな。何でお前の服はどれもこれも一回泥水に漬けたみたいな淀んだ色か残念なデザインしかねーの?」
「ど、泥水って……そんな言い方はないだろう」
「ホントのコト言っただけだし。ちゃんと自分で買わねーからこんなひどい色ばっかになんだよ」
 そう、サニーがずらりと並べたボクの私服は、実は自分で買ったものは1着もない。ほとんどグルメフォーチュンで占いの店を開いてから知り合った街の老人会の人達がくれたものだ。
 毎日黒い仕事着ばかり着ているボクを見て着たきり雀だと勘違いしたのか、お嫁さんが送って来たシャツがぶかぶかだったとか、おじいさんの若い頃のセーターを仕立て直したからとか、一番大きいサイズが売れ残ったからとか、そんな理由でちょくちょく服を渡されるようになった。確かに同年代が着ている服よりは若干落ち着いた色合いだけれど、酷評されるほどのものではないと思う。
 さらに、IGOから支給品が送られてくる時にはウーメン局長がTシャツなども緩衝材代わりに一緒に詰めてくれる。こちらは明るい色合いでアルファベットのロゴが入ったものが多い。『DOKU』Tシャツはわりと気に入っているので色違いも送ってもらった。
 しかし、そもそも衣服というものは、寒暖調節や皮膚の保護が最大の目的である。最低限の社会常識やTPOさえ弁えていれば、本来的にはどんな色を着ていても構わないはずだ。自分の地位や権力を誇示したいとか異性の注目を引きたいという目的がないボクの場合、私服は本当にただの『仕事着以外の服』でしかない。
「別に、着飾った姿を見せたい相手がいるわけじゃないし、何も困らないんだけど」
 率直にそう言えば、サニーは呆れ顔でまた溜息を吐いた。



Fin.

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2011/10/16 15:46 | トリコ。

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